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「水銀条約」と国内対策

 

「水銀条約」と国内対策

 

 

 

1 「水銀条約」採択

 

 「水銀に関する水俣条約」が、2013年10月10日、採択されました。「条約」の名称には、日本政府の提案により、「水俣病のような被害を二度と繰り返してはならない」との思いを込めて「水俣」の文字が加えられました。

 

この「条約」のもとで、水銀の輸出入規制、水銀使用廃製品の適正処理、水銀の管理保管システムの構築など、さまざまな取組みがすすめられることになります。世界各地でみられる水銀による環境汚染や健康障害について国際的な取組みがまさにスタートラインについたといえるものです。

 

「水銀に関する水俣条約」の採択をふまえ、国内対策の検討がすすめられてきました。すなわち「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」と「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が成立し、公布されました。また、関係する政省令についても準備され、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令」、「水銀による環境汚染の防止に関する法律の一部の施行期日を定める政令」「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令」「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令」が公布されました。

 

 

 

2 分別ガイドライン

 

 水銀使用廃製品の適正処理のためには「家庭から排出される水銀使用廃製品の分別回収ガイドライン」が出されたことに注目しなければなりません。

 

この「ガイドライン」は「市町村等の一般廃棄物を処理する者を対象として、水銀使用製品が一般廃棄物として排出される際の取り扱いに関する留意点をとりまとめたもの」とされています。

 

 「ガイドライン」の対象となる水銀使用廃製品としては、蛍光管、ボタン電池(補聴器、腕時計、ゲーム機等に使用)、水銀体温計、水銀温度計、水銀血圧計があげられています。

 

 水銀使用廃製品の回収方法としては、家庭からの排出時に破損しないように留意するとともに、他の廃棄物とは分別排出することが求められています。

 

具体的には、ステーション回収、拠点回収、依頼拠点回収、移動拠点回収などの方法によるものとされています。また、運搬段階で、水銀使用廃製品が破損し、水銀が飛散・流出しないように留意すること、他の廃棄物と区分して運搬することが求められています。 

 

処理段階においては「焼却処理の禁止」が方向づけられました。また、大量に処理する場合には水銀回収処理が望ましいとされました。

 

 

 

3 「水銀使用製品産業廃棄物」の取扱い

 

 他方では、水銀を含有する産業廃棄物の取扱いについては、廃棄物処理法の見直し、「水銀廃棄物ガイドライン」の策定によりルール化されました。「廃水銀等」については「特別管理産業廃棄物」に指定され、適用対象になる施設も特定されました。それ以外の事業所から排出される蛍光管等の水銀使用廃製品については「水銀使用製品産業廃棄物」として水銀の適正処理を行うことができる事業者に処理委託をするとともにマニフェスト管理をすることが求められています。

 実際に「水銀使用製品産業廃棄物」を取り扱う場合には、「水銀廃棄物ガイドライン」をふまえて実務対応を検討していただく必要があります。

 

くわしくは「水銀廃棄物ガイドライン」でご確認ください。http://www.env.go.jp/recycle/waste/mercury-disposal/h2906_guide1.pdf