· 

シリーズ・電池を考える(6)

シリーズ・電池を考える(6)

ボタン電池の回収

前号で、「電池類の開発は急速にすすみ、さまざまな電池が暮らしのなかで使用されるようになった」とし、いわゆる「化学電池」について、以下のような電池があげられるとした。

●一次電池(充電できない、使いきりの電池)  

 マンガン乾電池/アルカリ乾電池/リチウム一次電池/

 酸化銀電池/アルカリボタン電池/空気亜鉛電池

●二次電池(充電すれば繰り返し使える電池)

 ニッケル・水素電池/ニッケル・カドミウム電池

 リチウムイオン二次電池/鉛蓄電池

 これまでとりあげてきた使用済み乾電池の適正処理というのは、このなかの「一次電池」のマンガン電池、アルカリ乾電池を対象にした問題であった。

 これにたいし、酸化銀電池、アルカリボタン電池、空気亜鉛電池は、通常、「ボタン電池」とよばれるもので、「充電できない、使いきりの電池」という意味では同じ「一次電池」ではあるが、別の回収方法がとられている。

具体的には、電気店、眼鏡店、時計店などの「回収協力店」が設置している「ボタン電池専用」の「電池回収缶」で回収することになっている。

自治体もボタン電池の回収についてはこの方法をよびかけている。

 このようなボタン電池の回収方法は、電池工業会の自主的取組みとして行われているもので、ホームページで関連情報が示されている。(http://www.botankaishu.jp/m/top.php

 詳しくは直接ホームページで確認していただきたいが、2017年8月に制定された「ボタン電池の適正分別・排出の確保のための表示等情報提供に関するガイドライン」によると、この事業は「ボタン電池に含まれる水銀の適正処理を目的として、2009年から始まった」もので、「ボタン電池を販売する小売店に回収缶を設置して、無償で回収・適正処理を行っている」という。2009年以前は電池メーカー各社によって行われていた経過があるが、取組みが一元化されたことにより、回収量も大きくのびてきたという。

現在、ボタン電池の水銀使用状況については、以下の通りとされている。

酸化銀電池 2004年から2005年に無水銀品の出荷が始まり、現在国内向けはほぼ無水銀化

アルカリボタン電池 2009年から無水銀品の出荷が始まり、無水銀化が進行中

空気亜鉛電池 補聴器用電池として、今後も当面の間、水銀使用が続く見通し

したがって、無水銀化が進行しているものの、なお微量ながら水銀が使用されている限り、ボタン電池はこの方法で回収され、適正処理ルートに向かっていくことになる。

 

ただし、ボタン電池と区別ができないかもしれないが、リチウムコイン電池は、もともと水銀を使用しておらず、対象外だということである。