· 

シリーズ・電池を考える(7)

シリーズ・電池を考える(7)

「小型充電式電池」の回収

これまでは「一次電池」の話題であったが、これからは「二次電池」について考えることにする。「二次電池」というのは、「充電すれば繰り返し使える電池」のことで、以下のようなものがある。

記号

種類

正極

電解液

負極

公称電圧(V)

ニッケル水素電池

ニッケル酸化物

アルカリ水溶液

水素吸蔵合金

1.2

ニカド電池

ニッケル酸化物

アルカリ水溶液

カドミウム

1.2

IC

リチウムイオン二次電池

リチウム複合酸化物

非水系有機電解液

炭素

3.7

PB

鉛蓄電池

 

二酸化鉛

希硫酸

 開発のあゆみからすると、鉛蓄電池の開発がもっとも古く、1859年にフランスのガストン・ブランテが発明したものとされ、日本では1897年、二代目島津源蔵が開発にあたったといわれている。それ以来、改良が重ねられ、現在なお自動車のバッテリーなどで使われている。

 鉛蓄電池を追いかけるように、1899年、スウェーデンのユングナーがニカド電池を発明した。この電池は鉛蓄電池に比べ、エネルギー密度が高く、急速充放電や温度特性に優れていることから、広くポータブル機器などで使用されてきた。

 1990年代になって、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池が開発され、これらが「二次電池」の主役になってきたといえる。とりわけリチウムイオン二次電池は、小型でかつパワフルな性能を発揮し、携帯電話やスマホなどポータブルナな電子機器類の開発に貢献してきた。

 これらの「小型充電式電池」の場合、マンガン電池やアルカリ電池で問題にされた水銀に関しては、もともと使用していないのだから問題にならない。鉛やカドミウムなどの環境負荷については注意が必要であるが、ニッケルやコバルトなど希少な金属が使用されていることから、それらの使用済み後、資源の再利用の視点から独自に回収し、適正処理することが求められるのである。

 そして、そのための仕組みが一般社団法人JBRC(Japan Portable Rechargeable Battery  Recycling Center)を軸につくられてきた。小型充電式電池の製造販売事業者・輸入販売事業者、小型充電式電池使用機器の製造販売事業者・輸入販売事業者が会員となり、「使用済み小型充電式電池の自主回収及び再資源化」のために活動をすすめているということである。2020年3月末現在359会員。(https://www.jbrc.com/

 したがって、消費者・市民としては使用済みの「小型充電式電池」については、JBRCの協力事業者やこれらを回収する自治体の指定の窓口に排出すれば、JBRCのコーディネートのもとに、指定されたリサイクル事業者のもとで再資源化される。産業廃棄物として扱われるものも同様にこの仕組みを使えば適正処理・再資源化されることになる。

 

 重要なことは、取り扱い品目が「ニカド電池」「ニッケル水素電池」「リチウムイオン二次電池」に特化されていることから排出時の分別を徹底しなければならないことと、回収時の事故防止を徹底しなければならないことである。