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シリーズ・電池を考える(9)

シリーズ・電池を考える(9)

京都市の廃電池対策

京都市では、廃電池対策について、以下のような取組みを進めている。

1 マンガン電池、アルカリ電池、リチウム一次電池について

●水銀、鉄、亜鉛、マンガンなどの適正処理とリサイクルを目的に、平成5年度(1993年度)からまち美化事務所等に回収ボックスを設置し、分別回収を行っている。回収量は

  平成29年度(2017年度) 99.8トン

  平成30年度(2018年度)109.6トン

  令和 元年度(2019年度)111.2トン

である。回収されたものはリサイクル業者に引き渡し、鉄製品等にリサイクルしている。関連経費は、令和元年度で約10,045千円。

●これらの電池については「水銀ゼロ使用」になったとされているので、有害物質である水銀を環境に出さないという意義は小さくなったが、一次電池自体が鉄、マンガン、亜鉛等の金属資源であり、特にマンガンはレアメタルであり、国内需要の100%を輸入に頼っていることから、マテリアルリサイクルによる資源循環を進めることが求められている。また、分別回収しない場合は最終処分場に埋め立て処理されることになるが、国内の最終処分場も年々減少を続けており、持続可能な社会を実現するためにより一層の資源物循環を進める必要がある。

●乾電池の処理にあたっている野村興産では依然として水銀が回収されるというのは、「水銀ゼロ使用」に代わる前の電池や海外製の電池に水銀が含まれるためではないかと考えられる。

2 ボタン電池について

●市民の排出機会を拡大するため、平成23年度(2011年度)から、まち美化事務所等に回収ボックスを設置し、回収を行っている。回収量は

  平成29年度(2017年度) 0.29トン

  平成30年度(2018年度) 0.24トン

  令和元年度(2019年度)  0.40トン

である。回収されたものはリサイクル業者に引き渡し、鉄製品等にリサイクルしている。関連経費は1に含まれる。

3 二次電池について

●市民の排出機会を拡大するため、平成23年度(2011年度)から、まち美化事務所等に回収ボックスを設置し、回収を行っている。回収量は

  平成29年度(2017年度) 1.1トン

  平成30年度(2018年度) 1.1トン

  令和元年度(2019年度)  1.7トン

である。回収されたものはJBRCにて再資源化処理が行われている。これについての処理経費はかかっていない。

●二次電池が内蔵され、電池が取り出せない機器が増加しているが、無理に分解すると発火等の危険性があるため、小型の機器(30cm×40cm×40cm以内)については小型家電回収に出すようにお願いしている。ただし、最近急増している加熱式電子タバコについては、小型家電リサイクル法の対象になっていないため課題となっている。なお、令和2年2月から関東地方の一部地域で販売店店頭でのたばこ業界による回収が始まっている。

●二次電池に起因する「発火事故」については、京都市では、平成31年3月20日(水)に東北部クリーンセンターの破砕施設内で火災が発生し、当該施設のベルトコンベヤ等が焼損した。火災の原因は、持込ごみの中のカメラに内蔵されていたリチウムイオン電池が発火したものとみられている。火災の被害により、同クリーンセンターでの持込みごみの受入れを全面停止し、施設の全面復旧及び持込みごみの受入れ再開には、約半年間を要した。

●このような「発火事故」の再発防止策として、チラシの配布や搬入申告書への記載見直し等によりリチウムイオン電池が搬入禁止品目であることの周知啓発及びごみ搬入時における確認等の持込みごみ対策、各クリーンセンター等への火災検知器、自動散水設備、点検口の増設等を行う設備面の強化、消防への適切な通報と本市職員による初期自主防災体制の強化を講じている。

●現在も、施設を停止するほどの火災は発生していないが、たびたび火災報知があり、自動散水等により消火している。消火後に本市職員による発火原因の確認作業を行っており、リチウムイオン電池の燃え殻が発見されることもある。

4 事業所(者)から排出されている電池類の回収・処理について

●産業廃棄物処理業者において、二次電池の混入が原因と思われる火災が発生しており、排出事業者における分別の徹底が課題となっている。日々啓発しているが、正しい分別についての認知度が低いことが原因である。